マスクに強紫外線照射、5秒でウイルス不活化。大阪府大が装置開発
大阪府立大学研究推進機構放射線研究センターの秋吉優史准教授は、使い捨て不織布マスクの表面に付着したウイルスの大半を不活化する装置「マスクリーン」を開発した。エネルギーの強い紫外線「UV―C」をケース内で照射する。マスク1枚用は5秒、マスク4枚用は20秒でマスク表面のウイルスを約1万分の1にできる。紫外線は新型コロナウイルスにも有効といわれ、感染症対策が必要な医療機関向けに無償提供している。
プラスチックコンテナの内側をアルミシートで覆った箱や、内部がアルミの保冷バッグにUV―C蛍光灯を取り付けた。波長が280ナノメートル(ナノは10億分の1)未満と短いUV―Cはウイルスや菌への効果が高いが人体への悪影響もあるため、密閉して光が漏れないようにした。至近距離での照射によりエネルギーを効率的に受けられ短時間で処理できる。
ペンやピンセットなどマスク以外の物品にも使える。マスク4枚用は仕切りの金網を外せばフェースガードやタブレット端末など比較的大きな物にも対応する。
医療機関の接触感染リスク低減に向け、はめたままの手袋に照射する壁かけ型も考案。全身に防護具を着用した状態で照射する場合の効果も検証する。
一連の研究は日本医療研究開発機構の「ウイルス等感染症対策技術開発事業」に採択された。